今週はフランスはToussaint というカトリックの祝日の連休(要するに公立や一般的な学校は秋休み)だったんだけど、午後に通ってるアジア人だらけでお値段も超リーズナブルな私立の語学学校では引き続き授業が行われてました。
この学校、夏休みも無しで夏中ぶっ通しで授業あったからね、アッパレです。
通常はBMI19くらいの、ガチ10頭身のマネキンみたいな(体型と、高額そうな細身の洋服を着こなしているという意味で)年齢不詳の女性の先生がクラス担任なんだけど、しょっちゅうバカンスに旅立ってしまうので、今週は別の若い男性の先生が代わりに来てくれてました。
この代わりの男子、ことあるごとに中国語話せますアピールしてくるのがちょっとウザめなのと、シャツの襟ぐりから見える胸毛がどーも苦手で水曜日だけは自主休講してしまった。熱心でいいとは思うんだけど、若干暑苦しい。
で、その胸毛男子が「金曜日はペアラシェズ(パリ市内の北東にあるだだっ広い墓地)に遠足しよう!」と言い出したので、昨日は墓地で授業受けてきました。
授業と言っても、前日に割り振られた偉人について、本人の墓石の前でプレゼンをするというもの。授業料が安い割には、こういう課外授業が頻繁にあるってのも気に入ってます。
パリにはフランス人だけでなく、各国の芸術家とか偉人が眠ってたりするので、市内の墓地には必ずといっていいほど歴史上の人物がいます。日本と違って墓石もなかなか個性的なものが多くて、ペアラシェズだけでなくモンパルナスとかパッシーの墓地とかもささやかな観光名所みたくなってるはずだけど、でも日本人はあんまり見ないなぁ。
日本で偉人のお墓前で勝手に授業のプレゼンどーのこーのしたら高い確率で追い出されそう。そもそも灰色の石に名前書いてあるだけだからつまんないよね… 最近はモダンなのも増えてきてるけど、それでもザ墓石てのには変わりないし。
私はお墓が割と好きなので、ペアラシェズももちろん来たことがあったし、夏に旅したウクライナの都市 リヴィウでもわざわざお墓を見にいきました。死者を弔う文化って宗教だけでなく、その国の文化の色が濃く出るから、見てて飽きないの。静かなのに騒がしいような独特な雰囲気も、妙に居心地が良い。
ウクライナのお墓。
通常授業が始まる時間15時30分に最寄駅の出口で待ち合わせ。わたしは直前まで仕事があったので10分遅れまーすてクラスの日本人女子にメール入れたら、先生は15分遅れるって〜と帰ってきた。
なぬ!
嫌な予感はしてたけど、案の定45分になっても55分になっても現われず。前日にみんなの携帯電話番号を聞いて、「何かあれば連絡するねー」なんてほざいてた割には頼りない。
結局、30分遅れの16時頃にみんなで痺れを切らして墓地の入り口まで行ってみたら、直前の授業の学生たちとともにノンビリ出てきましたから。30分て2時間授業の4分の1なんですけど。授業時間さえも目安になるフランス人の時間のルーズさ。そして今日も毛がこんにちはしとるよ。
この日は5人参加。
一応C1ていう1番上級のクラスなので、皆様フランス語の理解力はかなりお高め。私が最年少で、フランス滞在期間も最短。語学学校3校行ったけど、ここの生徒さんたちが1番熱心かもしれないな。実際こうして遠くまでわざわざ足伸ばして来るし。
さて、本題のお墓プレゼン修行、トップバッターはまさかのわたくしでした。
女たらしってところがちょっとムカつく、芸術至上主義で色恋の詩や舞台ばっか書いてたのもキショい。つまり、わたしの苦手な殿方のタイプ。
なのになんでこの人を選んだかというと、単にリストの中で知ってたのがこのおじさんだけだったから。というのも数日前にフランス文学専攻の彼女にミュセットの素晴らしさを力説されて、名前を覚えてたってだけです。でも実際は、彼女の好きな詩人ならプレゼン準備もちょっと手伝ってもらえるかなと思ったのもある…。全然そんなことなかったけれども。
この日は晴れた金曜日の午後。フランス人観光客もたくさん訪れてて、みんな著名人のお墓を探しにウロウロしている状態。すごーく嫌な予感がしたんだけど、案の定私がジャラジャラ(ペラペラではない)説明を始めると、迷惑なことに周りを歩いてる人も立ち止まって聞いてくれた… 恥ずかしかった…
そもそもウィキピさんから引っ張ってきたに等しい内容空っぽだから、むしろ申し訳ない気分。でも先生もいろいろとツッコミを入れてくれたり、当時の他の芸術家の話になったりならなかったりで、無事に20分くらいで終わりました。
そのあとは胸毛の方向音痴に惑わされながらも墓地をウロウロと、他の生徒の担当の偉人を探していく。
細い道や太い道が縦横無尽に走ってて、しかもすべての道に名前がついててとてもわかりにくい。
何百年前もある墓地だから、ところどころ墓石が崩れてたり、扉が開いてたりするのもアリ…
どうやらパリで最も呪われてる墓地らしいけど、そら蓋も扉も開いてたらみんなサクッと出てきちゃうわな。
紅葉も綺麗だけど、落ち葉を掃く習慣も人件費もないらしく足元がすっかり落ち葉だらけで危険。
日本は紅葉はさすがにまだまだでしょうかね。
写真は、火葬場。フランスは基本カトリックだから土葬です。フランス革命前後からは事故で顔面肉体グチャグチャな人以外にも無神論者とか共産党主義者とかそういうアウトローな人を焼くようになったらしい。この日は東南アジア系のお坊さんと家族が大集結してお葬式が執り行われてました。
他の生徒さんはドラクロワ(画家、乳だしてフランス国旗を振るコールドプレイのジャケ写でおなじみのあの絵画の作者)とかオスマン(パリの街づくりを指揮したおじさん)とかモディリアーニ(有名になる前に亡くなった画家)とか、オスカーワイルドとかをプレゼンしてました。オスカーワイルドはイギリスの上流階級出身の作家。結婚して子ども
もいたけど、イケメンお兄さんと恋に落ちてズルズルと関係を持ってたら勘当されて投獄された、悲劇の既婚ゲイ(嫌味です)。
なんでかわからないけど、ネイティヴアメリカンぽい妖精みたいな銅像がひっついてた。
胸毛が途中でずっと話に入ってくるし地図持ってんのに迷うから、5人だけなのにまさかの2時間かかりました…とほほ。帰りは警備員に追い出されながら終了。疲れたし寒かったけど、久しぶりに外をウロウロできて楽しかった〜。結局のところ、胸毛に感謝。
今回の訪問で有名どころの墓石の場所は抑えたから、次回日本から誰かしら来たら連れてこうかなと画策中です。偉人に興味なくとも墓石見るだけでも楽しいしね。
以上。
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